2016年7月7日

お客様は神様じゃない

あなたはウェブデザイナーだと思ってください。そして、細部にこだわる完璧主義で非常に注文の多いお客様を想像してみてください。さらに、そのお客様を100倍くらいパワーアップした「勘弁してくれ!」的な、ほとんど精神病質者的な人を想像します。そのお客様、デザインのセンスはありません。

そのお客様がご希望のウェブサイトは、利益を全てチャリティに寄付するというイベントのウェブサイトで、あなたはお客様の無言の威圧により一定額(実は500ドル…)で仕事をすることを受け入れてしまいました。

お客様のご希望にそってあなたはデザインの草案を作り、お客様からはすぐにOKが出ましたので、提案したデザインに基づいてウェブサイトを作りました。

基本的な構造に関して問題ありません。ただし、お客様から細かい修正のリクエストが入ります。ヘッダーの色、コンテンツ、幅、ロゴの大きさや位置、フォントの大きさや文字間隔、余白、背景色など、あらゆる修正をリクエストされます。修正しても修正しても、満足できないお客様からの修正リクエストは続きます。

お客様は他人の言葉が気になる人です。常に知人たちに意見を聞いて次々に思いつく新しいアイデアを形にするためのリクエストも入ります。あなたはそうしたリクエストにそって作り・修正し続けますが、お客様の返事は「ううん…やっぱりこうしてみてくれ」です。

リクエストは次第にエスカレートしていきます。

作っても作っても、OKは出ません。OKが出るどころかリクエストは増え続けます。

すでにウン千ドル分くらい時間をかけていますが、所詮は500ドルの仕事です。しかし、リクエストは続きます。

ついに、お客様の手足になって働くアシスタントがあなたの仕事部屋にまでやって来ました。横にピッタリとくっついて、スピーカーフォンで指示とリクエストを出し続けるお客様に納得して頂けるように、二人で頑張ります。

何時間も何時間も、お客様のご意向に従って、そのアシスタントと一緒に頑張りますがリクエストは止まりません。お客様は、ありえないような希望も言ってきます。

デザイナーのあなたは次第に苛立ち、それは絶対に無理だ、上手くいかない、見た目がまずい、構造的におかしい、意味が無い、と遠慮なくお客様に言い始めます。しかし、お客様は自分の目で見て納得するまでは引き下がりません。

「もうこうなったら、彼の言うとおりにしましょう。彼の言うとおりに作るとどんなに酷いデザインになるか見せてやらないと納得しませんよ!」と、アシスタントは言います。

更に時間を費やして無駄な仕事をするあなたの腰には激痛が走り、マウスを操作する右手もつりそうです。

もう外は薄暗くなってきています。アシスタントの携帯電話通話料が心配になってきたあなた。そんなこと心配しなくていいんですよ。

さて、デザイン上非常に決定的な問題となりうることを提案するお客様。次々にありえないような提案を繰り出します。どうしても引き下がらないお客様。そして、相変わらず文章をチマチマと変更し続けます。

「たとえあなたのボスでもね、間違っている時には教えてやらなきゃいけないのよ」
「そうですよね」
「彼も自分の考えがいつでも正しいわけじゃないと分かる必要があるのよ」
「そうですよね」
「こんな写真をここに入れたら絶対にダメでしょ」
「私もそう思います」

歳を重ねて怖いもの知らずのあなたは、アシスタントにもスピーカーフォンの向こうのお客様にも、次第に口調が厳しくなっていきます。

何週間も何週間も、やってられるか!

いいかげんにしろよ!

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